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【書評】サイレント・ブレス 看取りのカルテ / 南杏子 は 人生の最期について考えさせられる一冊

書評

サイレント・ブレス 看取りのカルテのあらすじ

大学病院から、「むさし訪問クリニック」への“左遷”を命じられた37歳の水戸倫子。そこは、在宅で「最期」を迎える患者専門のクリニックだった。倫子はそこで死を待つだけの患者と向き合うことの無力感に苛まれる。けれども、いくつもの死と、そこに秘められた切なすぎる“謎”を通して、人生の最後の日々を穏やかに送る手助けをする医療の大切さに気づく。そして、脳梗塞の後遺症で、もう意思の疎通がはかれない父の最期について静かな決断を下す。

アマゾン商品説明より 

サイレント・ブレス 看取りのカルテはこんな方におすすめ

・死について考えたい
・終末期医療に興味がある
・評価の高い小説を読みたい

サイレント・ブレス 看取りのカルテの感想

●人生の最期について考えさせられる一冊
本書は在宅医療の医師である主人公倫子が
それぞれの患者との死に向き合うことをとおして
「死ぬことはゴールである」ことを実感していく物語です。
本書は医師である著者の実体験がおそらくベースになっており専門用語や
病状などの描写がとてもリアルで身近で同じ病気を経験されたかたは
ツライかもしれません。
それぞれの最期があっていい、その実現をお手伝いするのが
終末期医療に関わる医療者(医師だけでなく)なんだなと思いました。

●終末期医療のイメージが変わったかも
自宅で最期を迎えることにどういうイメージがありますか?
わたしは「大変そうだな」や「本人は苦しくないのかな」
とあまりポジティブなイメージをもっていませんでした。
本書では医療や介護スタッフに支えられて最期を迎える方
迎えられなかった方両方が描かれています。
この違いはどこからくるのでしょうか。
わたしは終末期医療や介護は「死ぬ」「汚い」という
ネガティブな言葉がちらつくがゆえに
直視できない時があるのではと考えました。
実際本書でも本人の意志に反した延命治療を
家族の希望で行うシーンも出てきます。
しかし死は生き物である以上絶対に経験することです。
「死というゴール」に向かって
終末期医療は自分と家族が納得できる最期を
迎えるために必要な医療であると認識させてくれました。
そのためには関わってくれるかたとのコミュニケーションが
大切だなと実感しました。それがうまく行けば
「大変でなく」「本人が苦しくない」最期が迎えられる可能性が
高くなる(絶対ではないですが)というのがわかりました。
患者を死なせることは敗北ではないのです。
治す医療だけでなく死ぬ医療も大切であることを実感しました。

●人生の最期を大切にするには
この本をとおしてわたしは動けるうちに身の回りを整理し
伝えられるうちに死に方について記しておくようにしたいと
思いました。
とはいえ、突然死がやってくることもあるので
普段から「もしものとき」どうするかを
家族にたまに話しておくようにしたいとも思います。

●さいごに
シリーズ化して読みたいというくらい
登場人物のバランスがよかったです
「倫子はこのまま独身なのか?」とか
「大河内教授の知られざる過去」とか
掘り下げられそうでしたが
そんなことを考えるのは野暮ですね・・

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